茶のしずく石鹸の事件から得られたこと。
アレルギーの発症のキーワードは皮膚炎から始まる。
茶のしずく石鹸の事件から得られたこと。アレルギー発症のキーワードは皮膚から
茶のしずく石鹸事件とは、当石鹸で洗顔を行っていた人が次々に重篤な小麦アレルギーを発症した、という事件です。2011年に発覚して以来、被害者総数2000名以上を出した大事件でした。
顔に湿疹がある方がこの石鹸を使用していて石鹸に添加されていた小麦のタンパク質(グルパール19S)に感作されて、その後小麦を含む食品を食べた後重篤なアレルギー症状を起こすようになった事件です。
同じことが、英国でもありました。乳児の頃、体に乳児湿疹があり、ピーナッツオイルが、湿疹によいと言われて一生懸命使用していたら、3歳ごろピーナッツを初めて食べて強いアレルギー反応をおこしました。これは乳児期にピーナツオイルを体に使用したことが原因でした。
「食品アレルギーは食べて発症するわけでなく、皮膚からアレルゲンが侵入してアレルギーを発症する」
どうして固形物を食べていないはずの赤ちゃんがアレルギーを発症するのか?昔は母乳のせいだ、とか妊娠中の食事のせいだなどと考えられていました。ですから当時は母親の食事からアレルギー物質を除去する、ということが当たり前のように行われていました。
まだ卵の未摂取児でも、アレルギー検査を行いますと卵の反応があることもありました。
この茶のしずく石鹸事件のおかげでこあれるぎ―は皮膚炎が関連することがわかってまいりました。
「赤ちゃんの荒れた皮膚から侵入したアレルゲンにより赤ちゃんは食品アレルギーを発症する」 皮膚感作と言います。
皮膚感作の図です。世界的に有名な絵です。
ピーナッツは口から食べて吸収されますが、ピーナッツは皮膚から吸収しては異常反応を起こすわけですね。(例えです)
国立成育医療研究センターの大矢先生のグループが、生後すぐから保湿剤を使用して皮膚を保護した群は保湿剤を使わなかった群に比べてアトピー性皮膚炎の発症率が30%下がった、という研究がありました。
これは皮膚を荒らしたまま放置するとアレルギー発症のリスクが上昇する、ということを表す研究結果です。
はるやま小児科ではこの研究結果を元に、湿疹で来院される赤ちゃんには積極的なお薬の使用方法をきめ細やかに指導をして皮膚管理を行い、これから起こるアレルギーを予防することをご指導しております
「赤ちゃんのザラザラ肌、乳児湿疹などは病気の肌です。1日たりとも放置しないで。」
将来起こるかもしれないアレルギー体質の予防につながるかもしれません。