子宮頸がんワクチン(HPV)について

子宮頸がんワクチン(HPV)について
歴史的経過、副作用、新ワクチンの追加、ワクチンの効果など

平成21年(2009年)12月より頸がんワクチン接種(HPVワクチン)が開始されました。因果関係が不明ですが、ワクチン接種と関連ある副反応の事例により、平成25年(2013年)に厚生労働省より、HPVワクチンの積極的勧奨を差し控える(ワクチン接種をお勧めしない)ことになりました。その後、HPVワクチンの有効性と安全性が検討されて安全性が証明されました。平成25年(2013年)の勧奨差し控えの通知を令和3(2021年)年11月12日に「終了させる」ことが決定されました)。令和5年(2023年)4月より新しく頸がんワクチンシルガード®9が接種に加えられて、新たな接種方式になりました。

子宮がんについて
子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんで、HPV感染により20から30代で増えております。日本では年間約1.1万人の女性が発症し、毎年、約2,900人の女性が亡くなっています。そのほか肛門がん、膣がん、尖圭(せんけい)コンジローマ、中咽頭がん,外陰がん、陰茎がんなどにも関連しております。

 

主なHPV関連がん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がんでのHPVが関与する比率です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、感染により生殖器やその周辺の粘膜にイボをつくるウイルスで、HPVの遺伝子型は150種類以上あります。
特に16、18、31、33、45、52、58型などのHPVはがんになりやすく、子宮頸部(子宮の入り口部分)に感染すると子宮頸がんに進行することがあります。

日本の子宮頸がん発症と死亡者数
毎年約1.1万人ものの女性がかかり、約2,900人の方が死亡するがんです。

HPV感染とその経過
多くの場合、HPV感染は一時的で、ウイルスは自然に排除されますが、感染した状態が長い間続くと、子宮頸がんを発症することがあります。

これまでのワクチン接種

新たな9価ワクチン(シルガード®9)の定期予防接種について
9価ワクチン(シルガード®9)は子宮頸がんに関連するHPVのうち、今まで定期接種で使用されている2価・4価HPVワクチンよりも多くの9種類のHPVの感染を予防するワクチンです。 7種類のHPVの感染を予防することができるため、子宮頸がん及びその前病変の罹患率の減少、子宮頸がんの死亡率の減少効果が期待されています。頸がんワクチンが行われている海外の報告では、子宮頚がんの減少が報告されております。

子宮頸がんの予防率
2価・4価ワクチン 9価ワクチン
約60~70% 約80~90%

HPVワクチンの効果は証明されておりますか?
2018年フィンランドから、非接種群では子宮頸がん・外陰がん・口腔咽頭がんといったHPVと関係の深いがんが、それぞれ 1年当り10万人に対して6.4人、0.8人、0.8人で発症したのに対し、接種群ではこれらのがんは全く認められなかったことが報告されました。スウェーデン、デンマーク、イギリスからも同じような結果が報告されております。(日本産婦人科腫瘍学会ホームぺージより)

過去の頸がんワクチンの副反応について
2018年フィンランドから、非接種群では子宮頸がん・外陰がん・口腔咽頭がんといったHPVと関係の深いがんが、それぞれ 1年当り10万人に対して6.4人、0.8人、0.8人で発症したのに対し、接種群ではこれらのがんは全く認められなかったことが報告されました。スウェーデン、デンマーク、イギリスからも同じような結果が報告されております。(日本産婦人科腫瘍学会ホームぺージより) 過去のケイガンワクチンの副反応について HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)は、接種後相次いで体の複数部位に慢性的な痛みが生じるという報告により、平成25年(2013)6月14に厚生労働省通知に基づき積極的な接種のお奨めを差し控えておりました。しかし多くの専門家の検討により令和3年(2013)11月26日に同通知が廃止されました。(私の考えですが、前回の接種は充分な準備期間を設けず、拙速にワクチン接種が開始されました。 いろいろな要因がありましたが、筋肉注射の手技、注射後の精神的なサポートなどがうまく機能していなかった可能性もあります。ワクチン接種と副反応の因果関係は否定されておりますが、現在も被害者の会は、国と製薬メイカーに対して裁判を行っております。

新たにシルガード®9ワクチンの接種は(2023年現在)
①15歳になる前には2回接種
②15歳以後は3回接種の二つに分かれております。
既に海外の多くはシルガード®9の2回接種になっております。今後日本でも年齢に関係なくシルガード9®は2回接種になる見込みです。

年齢によってシルガード9®の接種回数が異なるのはなぜですか?
シルガード9®を合計2回の接種は、9~14歳の女性を対象に臨床試験が行われ、効果と安全性が確認されたうえで薬事承認がなされており、シルガード9®を2回接種した9~14歳の効果は、3回接種した方と比べて、劣ってはいないことが報告されています。また、米国やカナダ、オーストラリアなどの諸外国では、原則、15歳になるまでに1回目の接種を終えていれば、2回で接種完了としています。  これらの背景から、15歳になるまでに1回目の接種を行った方は、2回で接種を完了できることとしています。なお、シルガード9®を含め、HPVワクチンの定期接種は小学校6年~高校1年相当の女子が対象であり、標準的な接種期間は、中学校1年(13歳になる学年)の女子となっています。

過去2価ワクチン(サーバリックス)または4価ワクチン(ガーダシル)を接種すると、9価ワクチン(シルガード9)は接種できないのでしょうか?
サーバリックスまたはガーダシルを1回または2回接種している場合
原則として同じ種類のワクチンを接種することをお勧めしますが、医師と相談のうえ、途中からシルガード9®に変更し、残りの接種を完了させることができます。この場合も定期接種の対象となります。また、キャッチアップ接種の対象の方も、途中からシルガード9®に変更し、残りの接種を完了させることができます(※)。
(※)異なる種類のワクチンを接種した場合の効果と安全性についてのデータは限られています。
2価・4価ワクチンを使って接種を開始している場合であっても、医師と被接種者がよく相談した上であれば、残りの回数を9価ワクチンで接種することが可能です。
対象者、申請方法、償還額、申請期間は自治体事に異なる場合があります。 (すでに本来の定期接種の対象年齢を超えておりますが)

HPVワクチンのキャッチアップ接種について
勧奨を差し控えていたことにより接種の機会を逃した世代の接種(キャッチアップ接種)

平成9年(1997)4月2日~平成18年(2006)4月1日生まれの方については、一時接種による副反応問題があり、政府が一時期、個別勧奨を差し控えていたことにより、接種の機会を逃した世代として、公平な接種機会を確保するため、令和4年4月~令和7年3月までの3年間の接種の機会が設けられました。
3回の接種が完了していない方が対象となります。1回受けた方は残り2回、2回受けた方は残り1回接種できます。本来の定期接種の対象年齢を超えておりますが…

現在海外では男性にも9価シルガード®9ワクチンを接種している国、欧州では2016年2月より,米国では2016年10月より9歳~14歳の男性および女性に2回接種が認可されております。
現在、80以上の国と地域でシルガード®9の2回接種が3回接種の代理用法として認可されております。
参考文献:HPVワクチンについて(2022年1月27日ワクチン分科会資料)(PDF:3,999KB)
2022年3月までに自費でワクチンを受けた人に対して接種費用を払い戻す制度もあります。
対象者、申請方法、償還額、申請期間は自治体事に異なる場合があります。

費用について
○公費接種対象者の方は無料となります。 (公費での接種には、各自治体が配布する予診票が必要となります。葛飾区、江戸川区を含め23区内在住の方は当院での接種が可能となります)
○対象者以外の方は有料となります シルガード®9 ・・・ 27,500円 (税込)×3回

 

以上長々と書きましたが、ワクチンで防げるがんなので、気になる方はご遠慮なくご相談ください。