小児耳鼻科 はるやま小児科 アレルギー科
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子どものみみ・はな・のどの病気 Q&A

急性咽頭炎(クループ)

のどの喉頭と咽頭の違いは解剖学的にややこっしく
医者でもよくわかっていないことがあります(^^;)

急性喉頭炎は風邪のような症状から始まり、しだいに声がかすれて犬の遠吠えのようなせきになります。まれに夜間、容体が急変し、呼吸困難になることもあるので、しっかりと子供の様子を観察する必要があります。いろいろな原因で喉頭が腫れることがありますが、今回は風邪からのウイルス感染を限定して説明します。

喉頭と咽頭の構造の違い

出典:がんのきほん
出典:江戸川病院BNCTプラザ
出典:江戸川病院BNCTプラザ

 

今回は喉頭炎をおこすと仮性クループをおこすという話です。
仮性クループクループの違は厳密には違います。症状は同じですが炎症をおこす部位、原因により本来はわけて診断していましたが、今回はほぼ同じ意味と考えてください。少しややこしくなるので)

赤ちゃんや幼児に多い病気で、初めは乾いたせきから始まり、苦しそうなせきになりひどくなると息を吸うときにゼーゼー、ヒューヒューとなります。せきの特徴は犬の遠吠えとそっくりです。
参考までに:(息を吐くときのゼーゼーは気管支の問題です)

 

クループの症状の特徴を説明します

  1. パラインフルエンザウイルスによることが多いです。時期季節により、クループの患者さんが多くなることがあります(流行性、季節性)外来で診察していると、ある時期になると急にクループの症状を持つ子供さんが多くなります。パラインフルエンザウイルスの名前を聞くとびっくりしますが、インフルエンザウイルスとは別物です。インフルエンザと違い最初から乾いたせきが特徴です。でも両方とも同じ時期に流行しますので少し混乱しますね。
  2. クループの症状が、出やすい子がいます。どうやら家族性(喉頭の腫れやすさ?)があるようで、家族でこれまで同じクループ症状があった方は、注意が必要です。
  3. 次の機会の感染でやはり同じ症状がでることもありますが症状は成長つれて軽くなるようです。
  4. 症状の注意点は、昼の診察では軽い咳だけですが、夜にひどくなることが特徴です。初めは発熱やのどの痛みを伴ってかぜのような咳ですが、しだいに声がかすれてきて、夜に犬の遠吠えのようなケンケンというせきをするようになりよく犬の遠吠えとかアザラシのような咳とたとえられます。
  5. 二日間は苦しいせきが続きます。翌晩もコンコンとせきがでます。

 

昼の小児科診察時の症状は

  1. のどの痛み、イガイガするといいます
  2. 乾いたせきが最初にでます。タンが絡むようでしたらむしろ気管支炎を考えましょう。 
    (喉頭から気管支に及んでいるかも?)
  3. 初めから声がでにくい、昼のゼ-ゼー(息を吸うとき)は入院でしょう。

 

夜になるとこれらの症状がさらにひどくなることがあり(昼の診察ではのどが赤い風邪でしょうと言われているが?)

  1. オットセイとか犬の遠吠えなどと言われるせきが特徴です。
  2. 息を吸うときゼーゼーと音がする。
  3. 苦しくなると自分からおきあがることもあり、おきあがるとゼーゼーの音が少し改善する。
  4. 呼吸のたびに肋骨の間や鎖骨が凹むような呼吸困難になる。ーー>救急受診ですね。
  5. 翌日の朝になるとせきが少し落ち着く。

乾いたせきと声のかすれはのどの腫れによります【皆さまはたんが絡んでいると勘違いします】昼の診察ではのどが赤いといわれるかもしれませんが、喉頭の解剖で説明しましたがのどを見て喉頭の腫れは見えません。喉頭ファイバーを使えば別ですが、この検査は呼吸困難を引き起こすので勧められません。

【皆ひどくなるわけではありませんが、真夜中に悪化するのが特徴です。】

急性喉頭炎の発作(クループ)は夜間に突然引き起こすことが多いです。朝まで待ってしまうと、ひどい場合は呼吸が止まってしまうおそれもあります。
早めの判断と対処が必要です。救急にかかる時はクループが心配ですと伝えてください。呼吸困難で唇や顔の色が紫色になるチアノーゼを起こしたら、一刻を争う緊急事態ですから、すぐに病院に!救急車を呼んでもかまいません。

◆クループのせきです
ここでクループの昼、夜のせき、緊急を要するクループのせきの音を聞きましょう。
■昼の乾いたせき

■夜のクループのせき

息を吸う時「ゼーゼー」しますね。

■緊急を要するクループの呼吸困難


クループの多くはウイルスによって起こる病気なので、特効薬はありません。かん高い特有のせきが出たら、とにかく早めに受診してください。
昼に乾いたせきがでれば昼のうちにかりましょう。問題は夜の過ごし方です。
昼のゼーゼーは予防的に入院です。

  1. 寝かせるときは背中にクッションなどを当てて、上半身を高くしてあげると呼吸もラクになります。赤ちゃんが泣くと、のどが苦しくなるので、あまり泣かせないような工夫も必要です。
  2. 発作が起きたら、ラクになるようにたて抱きに【夜一晩抱きかかえることもあります】
    ゼーゼーするときは自分からおきあがることもあります。
    発作が起きた場合は抱き上げて、たて抱きにしてせきが落ち着くまで待ちますゼーゼーが消えればいいですが、やはり夜でも救急に連絡です。
  3. ひどいせきと同時に、息を吸うときゼーゼーと音がしたら、それは呼吸困難を起こす前ぶれです。呼吸困難になって唇や顔の色が紫色になるチアノーゼを起こす可能性もあります。一刻を争う緊急事態です。

 

治療

  1. 喉頭の腫れを抑えるために血管収縮剤の吸入やステロイド大量服用(結構な量ですが1回だけですから、副作用は心配ありません)飲む時間も大事です。
  2. 夜間せきが強いときは抱き起す。一晩抱っこし過ごしたということも聞きます【すごい!】
  3. 加湿器が勧められることがありますが、薬剤を使った医療用加湿器は効きますが、一般の加湿器の効果は?です。先に述べた夜の症状の出現はやはり悪化する前に救急受診です。

最後に、風邪の症状がなく急な乾いたせきはピーナーツなどの豆類などの誤飲も時にあります。いわゆる異物誤飲ですね。ときどきいます。くれぐれも赤ちゃんの異物誤飲は気を付けてください。