最近まで、マイコプラズマ感染症はしばらく流行がありませんでした。
しかし最近になり、しつこい咳をする方にこの感染症の方が増えています。
国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年によりますと…
2024年 第26週(6月24日〜 6月30日)過去5年間の平均と比較してかなり多いと報告されています。
都道府県別の上位3位は沖縄県(2.14)、香川県(1.80)、青森県(1.33)である。
(2.14とは一医療機関において一週間で患者さんが2.14人診断したということです)
●症 状
痰がからまない乾いた咳が出るほか、発熱や倦怠感、喉の痛み、頭痛などの症状が現れます。2024年7月現在、新型コロナ感染も増えており区別が少し困難です。
初期症状は風邪に似ています。個人差がありますが、初期の段階から肺炎というより乾いた咳が3~4日続き、聴診器で気管支炎の音が聞こえることがあります。いきなり咳が出てからマイコプラズマ肺炎となる方は少ないかもしれません。初期は『マイコプラズマ気管支炎』の方が多いようです。
また、適切な抗生剤で治療し、熱が下がった後も咳は3~4週間ほど続きます。特に夜間や早朝に激しく出ることが多いです。
また、潜伏期間は7日から10日ほどと、通常の風邪よりも長いのも特徴です。
●マイコプラズマ感染の検査
病院では問診で症状を聞き取った後、マイコプラズマ感染の疑いがあった時に検査を行います。友人が咳をしていたり、学校で隣の友達が咳と発熱有り休んでいた等が例です。
・画像検査
マイコプラズマ肺炎の患者さんは胸部X線検査などを多くの医療機関では撮りますが、被爆を考えますと、開業医の段階での軽症な気管支炎、軽症な肺炎は撮影なして経過を見ることもあります。入院など肺炎がある時は胸の写真を撮影します。
・血液検査
マイコプラズマに感染すると、病原体に対抗するために、体内にマイコプラズマ抗体がつくられます。血液検査では、このマイコプラズマ抗体の数のほか、病原体を排除するために増えるタンパク質(CRP)や白血球の値を調べます。
・迅速診断
これまでは血液検査にて抗体を調べる検査でしたが、最近はのどの奥の粘膜をぬぐった液の中に、マイコプラズマが含まれているかどうかを調べる検査です。10~30分程度で結果がわかる迅速検査キットを用います。
この検査は簡単にできて、すぐに結果がわかる利点はありますが、発症からの経過日にち、うまく痰を摂取出来るかにかかります。発熱して2~3日頃が迅速検査陽性率は高くなるようです。
●マイコプラズマ感染の治療
主にマクロライドという抗生剤を服用します。
(薬によっては少し味にくせがあり服用を嫌がるお子様もおります)
マクロライド系が効かない病原体(耐性化)も現れたため、マクロライド系が効かない場合は、ニューキノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬に切り替えて治療することがあります。
抗菌薬に加え、咳がひどいときは咳止め薬、熱が高い場合は解熱薬が処方されることもあります。また、合併症が認められたときは、そちらの病気を治療するための薬も使用します。
咳がひどい時は、しばらくは登校や通勤の際はマスクを着用し、他人への感染を防ぎましょう。また、咳が収まるまで激しい運動は控えましょう。