現在、百日せきは5種混合(DPT-IPV-Hib)、3種混合(DPT)によって減っております。
その一方、診断されず年長児や、小中高生、成人の発症が多く報告されております。ワクチン未接種の乳児百日せきについては注意しますが、診断法の煩雑さもあり正直忘れられた病気のひとつではないでしょうか。
しかし、そんな百日せきですが、最近小学生を中心に集団発生が報告されております。通常、百日せきは血液検査(2回の採血が必要)で診断しておりました。
当院では全自動遺伝子解析装置(PCR)の導入により速やかに院内で診断できるようになりました。咳が長引く続く時はこの検査も必要かもしれません。
▶︎一般的な診断方法:
百日咳菌は特殊な培養法が必要で培養検査ができない医療機関も多く、さらに培養自体も難しい菌のため近年では、細菌の遺伝子検査(PCRやLAMPなど)、迅速抗原検査が行われます。抗体をみる血清診断法は、原則、急性期と回復期の2回の血液検査を行います。検査の方法によって診断のしやすさや検査に適したタイミングなどが異なるため、状況に応じて用いられる検査方法が決められます。
百日咳は乳幼児が感染する呼吸器感染症と位置付けられておりましたが、近年では世界的に青年・成人患者の増加が認められております。ワクチン予防可能疾患である百日咳は乳児期に百日せきワクチンの接種(1期3回、追加接種1回)ですが、その免疫持続期間は4~12年と見積もられております。そのため、小学生から免疫効果が減弱し始め、高校生になると免疫は消失すると考えらております。地域流行では小学校高学年から中学生を中心に発症者が認められたことから、これらの世代は百日咳の感受性者であることが再認識されました。小学校での感染拡大が家族内感染を引き起こし、さらに兄弟のいる中学校へと感染が拡大した。免疫が減弱した小・中学生は百日咳の感受性者となることに注意が必要であります。
▶︎症状:
大人が百日咳を発症しても症状は軽く、普通の風邪とあまりかわらないため風邪と見分けるのはとても困難です。 大人だけでなくワクチン接種をした方も同様で、百日咳特有の咳症状が見受けられないため、普通の風邪と勘違いして過ごす傾向にあります。
治療:治療方法 百日咳の治療では、マクロライド系の抗菌薬があります。
注意:学校保健安全法においては、第二種の感染症に規定されています。登校基準としては、 特有の咳が消失するまで又は五日間の適正な抗生物質による治療が終了するまで、出席停止とされています。
▶︎予防方法:
日本小児科学会の推奨に基づき、以下をお勧めしています。ぜひ、一度ご検討をお願いいたします。
就学前の時期にはしか・風疹ワクチンの2期と一緒にDPT(三種混合ワクチン:ジフテリア、百日咳、破傷風)を任意接種が進められます(自己負担接種)
小学校高学年の時期にDT(二種混合ワクチン;ジフテリア、破傷風)の定期接種→DPT(三種混合ワクチン)の任意接種に変更する(自己負担接種)—-それほど一般的に認知されておりません。
参考サイト:百日せきー災害・避難感染症ナビ 百日せきーオトナのVPD