一酸化窒素ガス分析装置 NIOX VERO
喘息の診断や“気道の炎症状態“を評価する、この機器では、吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定し、気道の炎症状態を評価します。炎症の程度が分かれば、それに応じて薬の投与量を増減することも可能なため、治療の効率化にもつながります。
他院かかりつけ患者さんの場合、検査だけのご要望も承りますので、遠慮なくご相談ください。
喘息になると濃度が上昇します
気道に炎症が起きると(気道の粘膜を構成する)上皮で誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)というNOを作る酵素が増えます。そのため吐いた息のNO濃度を測ることで、結果的に炎症の程度がを知ることができます。
喘息患者さまの呼気中で増えるガスはNOだけではありません。一酸化炭素やエタン、ペンタンの濃度も炎症に伴って上昇しますが、これらは喫煙などが原因で肺機能が低下する慢性閉塞性肺疾患(COPD)でも同じように高くなります。一方、NOはぜんそくで特異的に上昇するため、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と間違わずに診断が可能です。安定期より発作時の方が高くなるため、治療を強めたり弱めたりする目安としても使えます。
呼気NO濃度測定検査とは?
呼気NO濃度測定検査とは、呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。喘息の気道には炎症があり、炎症性刺激により、主に気道上皮のNO合成酵素(INOS)が誘導され、大量のNO(一酸化窒素)が産生されています。そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。
検査は簡単
検査は6秒以上、息を吹き込むだけです。測定開始から結果表示まで約1分30秒で完了します。
潜在的に喘息の方は、風邪をひいた後は、せきだけが治らずに続くケースが多く、患者の約30%は本格的なぜんそくに移行します。早期に適切な治療を始めれば移行の確率を下げられるため、ほかの慢性的なせきと鑑別できる呼気NO測定への期待は、大きく膨らんでいます。
呼気NO 低値(成人25ppb未満、12歳未満の小児20ppb未満)
- 気道の好酸球性炎症の存在はありません。
- 喘息症状のある患者さんの場合でも、ステロイドホルモン吸入薬の適応はありません。
- 喘息以外の原因を探る必要があります。
呼気NO 中間値(成人25~50ppb、12歳未満の小児20~35ppb)
- 気道の好酸球性炎症の存在はありますが、軽度です。
- 解釈には注意が必要です。
- 吸入ステロイドホルモン剤を開始し、呼気NO値の変化を追う必要があります。
呼気NO高値(成人50ppb以上、小児35ppb以上)
- 明らかな気道の好酸球性炎症の存在があります。
- 喘息の症状がある患者には、ステロイドホルモン剤の吸入の効果があります。
- アレルギーの原因物質を探る必要があります。