先天性皮膚洞

■ 先 天 性 皮 膚 洞

 おしりのところ(腰椎部)、肛門の上に生まれつき、えくぼみたいにへっこみが(dimple)あるものをいいます。
へこみがある場合はよく開いて底があるかどうかをきちんと見てみます。

<症 状>

 おしりの骨のところにくぼみのできる陥凹や深い穴が見られます。
程度には軽く問題にならないものから、皮膚洞の周囲には紅斑、多毛、脂肪腫(自然消失?)、血管腫、色素沈着など異常な皮膚の症状を伴うことがあります。仙骨部正中線上にある毛巣洞は盲端(袋)になっていることが多いです。しかし深い穴は硬膜(髄膜腔)に交通がありますと、細菌がそこからはいり、髄膜炎を起こすことがあります。繰り返す髄膜炎は先天性皮膚洞が原因のこともあります。
検査:超音波、MRIがあります。正確を期するにはやはりMRIです。脳神経外科が専門です。

<治 療>

 無症状のものは特別な治療をしませんが、神経とつながる脂肪腫や交通が見られることがあれば、これを摘出する手術などを行います。
【程度の分類】タイプ1.2.3と便宜上わけます。【適切な日本語訳ありません】

タイプ1:Deformity:occygeal pits 急いで検査などは必要なく経過観察です。

                occygeal pitsは(尾骨ピット)です。

タイプ2: Swan neck deformity(白鳥首の変形?)

タイプ3:Inverted exclamation deformity (‎逆感嘆の変形‎?)

コメント:Type1,Type2,は経過観察ですが、Type 3とか後にある写真のような所見は脳外科の受診を勧めます。念のためMRIの検査が必要でしょう。
ほとんどの場合はタイプ1、2の多くは心配いりませんが、その部分に毛が密集したりあざがある時は気になります。排便、排尿、運動など神経症状はほとんどありませんが、成長につれて発症することもあります。

注意する皮膚洞(1)(埼玉県立小児医療こども病院脳神経外科栗原淳先生より)

肛門から約2.5cm離れているくぼみは(写真左)、検査必要です。

 

注意する皮膚洞(2)北海道こども病院の先天性皮膚洞の写真。

 

右の写真はMRI です。これらの写真は注意すべき症例です。